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#SOSsumatra スマトラで出会った確かな未来

2017年、スマトラで出会った確かな未来。⾏動すれば、森は再⽣する

インドネシアおスマトラ島は、残り14,600頭となってしまった絶滅危惧種のスマトラオランウータンの⽣息地です。 

インドネシアのスマトラ島は、世界で⾒ても⼤きな島の⼀つです。また、オランウータンをはじめとする500以上の多様な⽣物が⽣息するレウセル地域 (Leuser Ecosystem)があることで知られています。豊かな熱帯⾬林、低地、⼭、⾼地など、様々な特徴を持つこの地の⾃然を豊かにしてきた⼤⾃然の⽣態系は、パームオイルのプランテーション開発のための⼭焼きや違法な森林伐採、交通インフラの整備、環境に配慮していない農業などによって消えつつあります。

スマトラは世界でも屈指の⽣物多様性を誇り、トラやサイ、ゾウ、オランウータンが⼀緒に⽣息している地球上で唯⼀の場所です。この熱帯⾬林には何百種もの哺乳類や⿃が⽣息し、それらを捕獲・採取して⽣活している何千もの⼈が暮らしているのです。そんな、様々な⽣物が共存する森で進みゆく絶滅へのカウントダウンの秒針を巻き戻すために、森林保護団体であるSumatran Orangutan Society (SOS) とラッシュはパートナーシップを組むことになりました。

パーム油の需要増加もに伴い、半世紀以上もの間、インドネシアでは違法な森林伐採が⾏われ続けてきました。以前は162万ヘクタールもあった豊かな森林は現在、伐採によって半分まで減少してしまったのです。今となっては、森林破壊の速度が世界⼀はやい森として知られており、80,316ヘクタールもの森林がたった2008年から2013年の間に破壊されました。冷酷とも⾔えるスマトラ熱帯⾬林の森林破壊は森だけでなく、スマトラオランウータンといった森に⽣きる⽣物まで絶滅⽬前に追いやり、多くの種は絶滅危惧種に指定されてしまいました。 

SOSのディレクターであるヘレン・バックランド⽒は、スマトラに住むオランウータンについて以下のように語ります。 

「2017年11⽉のはじめに新種のオランウータンが発⾒されました。今この森にはタパヌリオランウータンとスマトラオランウータン、2種類のオランウータンが⽣息していますが、どちらも絶滅が危惧されています。スマトラのオランウータンたちが⽣き残るために私たち⼈間が⼒を合わせ、なんとか⽣態系を守らなければいけません。でないと、スマトラのオランウータンたちはこの世からいなくなってしまうでしょう。スマトラの森は何⼗年もの間、⼈間の⼿によって減少し続け、結果としてオランウータンや他の⽣物たちを絶滅直前まで追いやってしまいました。彼らは今まさに、崖の縁に⽴たされています」。

ところが、野⽣動物たちが危機的な状況にあるにも関わらず、今もなおスマトラの森はプランテーションや違法な森林伐採が⾏なわれ、破壊、減少の⼀途を辿っています。 

熱帯⾬林が「ホーム」であるオランウータンや何百種類もの⽣物が、これからも⽣き延びていくためには、森の再⽣が必要です。そして、この問題は解決策がないわけではありません。近年の研究結果では、前向きなニュースが発表されています。それによると、正しい農業の⼿法をとれば、森が再⽣するというのです。森が再⽣すれば、もともと⽣息している野⽣動物たちは再び繁栄し、数を増やすことができるのです。

SOSが⾏った森の再⽣プロジェクトでバックランド⽒が⽬の当たりにした、⾃然界の⼒強い⽣命⼒がそれを証明してくれました。 

「私たちSOSが、森林保全を重点的に⾏っている場所を初めて訪れた時、国⽴公園の境まで続く、⾒渡す限りのパームオイル⽤のヤシ畑を⽬の当たりにしました。⼟は乾ききってひび割れ、そこには⽣命が⼀切感じられない静けさがありました。⿃のさえずりさえも聞こえません。私はこの痩せ果てた⼟地に熱帯⾬林の⽊の苗⽊を⼀本植えて、⽣き残るように願いをかけてみることにしたのです。これが保護林の始まりです」。

「2年後、その場所に戻ると、テナガザルと⿃たちのさえずりが聞こえてきました。チームメイトからは、前⽇にゾウの群れがいたことも報告されました。つまり、この保護林が機能していたことが分かったんです。それから間もなく、野⽣のオランウータンたちがその⼟地に戻ったという報告がありました。熱帯⾬林が育つには時間がかかると⾔われていますが、⼟地に再び緑が戻り、オランウータンや他の⽣物たちの⽣息地として復活するのに時間は⻑くかからないことが分かったんです。たった3、4年で⾃然は再⽣し、野⽣動物たちが戻り始めたのですから」。

SOSはインドネシアで活動する姉妹団体であるオランウータン情報センター(Orangutan Information Center、OIC)と共に、スマトラのオランウータンや彼らが⽣きる森の未来を、 森林破壊から守ろうとし続けています。森の再⽣を推進することはもちろん、地元のコミュニティに森の⼤切さを教え、森の⽣産性と機能性を保全する⽅法を伝える活動を重視しながら活動しています。 

OICが運営するセンターでは、スマトラに住む地域コミュニティに対し、森林伐採を⾏わずして森から収⼊を得る⽅法としてパーマカルチャーの技法を使った野菜作りが共有されています。 

「私たちが⽊を何本植えようと、熱帯⾬林の保全にとってもっとも重要なのは、レウセル地域周辺で⽣活する⼈々と強い協⼒関係を結ぶことなのです。彼らが森の⾨番になり、将来的な森林破壊の危惧から森を守ってくれる存在になってもらうのです。このゴールにたどり着くために、私たちは様々な教育や幅広いアプローチを⾏ってきました」。 

「例えば、⾃転⾞を漕いで発電する上映機を使って森林保護に関する映画の上映会を⾏ったり、エコアグリカルチャーのスペシャリストトレーニングを⾏ったり。こういった近隣コミュニティに対するアプローチは、私たちの他の働きの礎⽯になりました」。 

スマトラの森林破壊を⾷い⽌める活動をしているSOSをサポートするために、ラッシュではスマトラ・ブキットマスの熱帯⾬林の⼊り⼝にある森林破壊された⼟地を購⼊する公約を掲げています。この⼟地は現在、原⽣の野⽣動物が減少傾向にありますが、SOSが他の森で⾏ってきたように、少しの愛と専⾨知識さえあれば数年で熱帯⾬林の⽣態系を取り戻すことができるのです。では、私たちラッシュには何ができるのでしょうか?

2017年11⽉、UKとヨーロッパのラッシュでは、限定商品『オランウータン ソープ』を販売しました。スマトラに⽣存するオランウータンの数と同じ14,600個の『オランウータンソープ』の売上げは、消費税を除く全額がSOSに寄付されました。その⾦額は、インドネシアにある50ヘクタール(新国⽴競技場の約4.5個分)のパームプランテーションを購⼊し、原⽣林に戻す活動に使われます。

ラッシュのヘッドバイヤーであるサイモン・コンスタンティンは、ラッシュがSOSとパートナーシップを組むことになったきっかけについて、以下のように語りました。

「まず、SOSは私たちが商品に使っている原材料が、スマトラでどのような影響を⽣んでいるかについて教えてくれました。私たちは、ラッシュの信念に反するソープの原材料であるグリセリンといったパーム油由来の原材料の使⽤を⽌め、スマトラでの森林破壊を助けてしまうような要素を排除しました。これがターニングポイントとなり、『なるべく悪いことをしない』という意思だけではいけないと気づいたんです。アブラヤシや、その他の原材料が⾃然に及ぼす影響への解決⽅法にきちんと⽬を向け、⾏動することに強い必要性を感じました」。

「10年前に違法なパームプランテーションであった500ヘクタールの⼟地を、元の熱帯⾬林再⽣させる団体には、まだ会ったことがありません。『オランウータンソープ』のベースはパーム油ではなく、スマトラ産のエキストラバージンココナッツオイルを使いました。限定販売数14,600個が売り切れたら、それで終了。これは、スマトラの熱帯⾬林に⽣息するオランウータンと同じ数なのです」。 


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こちらは、2017年11⽉に⾏なわれた#SOSsumatraキャンペーン時に公開された記事です。プロジェクト発⾜当時のスマトラ島の状況や、オランウータンへの影響についての情報が記載されていますが、現在の状況は変化している可能性も考えられます。 

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