
カカオ豆

平和へのパイオニア
殺人、誘拐、度重なる拉致などの強制失踪。コロンビア北西部、サン・ホセ・デ・アパルタドにあるコミュニティ会議の代表、ヘスス・エミリオとアルレイ・チェルべキアにとっては珍しいことではありません。
平和のための努力
ピースコミュニティが設立されたのは、コロンビア軍、左翼ゲリラ、右翼武装集団による暴力や威嚇が背景にあります。非暴力を誓うピースコミュニティに住む約2,100人の農民たちが望むのは、国際人権法で約束された2つの権利を行使することだけ。それは、平和に暮らすことと紛争に一切関与しないことです。また、ピースコミュニティで暮らすには、多くの共通ルールを守る必要があります。それは武器を持たないことや武装集団と関わったり、支援しないこと。すべての人に平等の権利を与えること、そしていかなる麻薬、アルコールも所持しないことです。
コロンビアは60年近くも紛争状態にあります。その原因は、社会・経済における構造的な不平等。「コロンビアには、個人による土地の所有権がありません。マイホームをもつ権利、教育を受ける権利。無償どころかまともな医療サービスを受ける権利すらないに等しい。教育制度だって、ひどいものです」とヘスス・エミリオが説明してくれた。「ピースコミュニティでは、一家につき一件の家と土地の所有権を確保するようにしています。私たちが目指しているのは、今のコロンビアとは違った形の世界であり、生活の仕方。子どもたちだけでなく、大人にもお年寄りにも愛情を注ぐことなのです」。
しかし皮肉なことに、紛争から距離を置くことで、ピースコミュニティのメンバーの命が危険にさらされるリスクは高まりました。彼らが管理する土地を制圧しようとする勢力から攻撃の対象とされてしまったのです。その結果、男性、女性、子どもも含む261人のメンバーが命を失いました。殺人、誘拐、強制失踪に対して、コロンビア政府は対応にあたらないどころか、そのような事態の存在すら認めません。それでもヘススやアルレイをはじめとするピースコミュニティのリーダーたちは、国際社会へ公正な裁きを求め続けている。
「武装集団は今も活動を続けていて、警察や軍隊といったコロンビア政府機関の支援を背景に、いっそう大胆になってきています」とヘスス・エミリオが説明してくれた。「2013年11月18日、武装集団がピースコミュニティ内のアレナス・アトラスという集落を襲撃し、6人を連れ去りました。そのうち5人が未成年者です。これは2014年8月31日にブエナベンチュラ・オヨスという若者が連れ去られた事件と関係しているとみています。彼らの消息は今もわかりません。厳しい状況です」。
Our story
このように非常に不安定な状況にあっても、ピースコミュニティが平和を求める気持ちに揺るぎはありません。彼らは今も周囲の環境と調和して生活を送りながら、バナナやアボカド、トウモロコシや米、豆類、プランテン、カカオ豆など、様々な作物を栽培し、日々の食料と収入源にしています。
ピースコミュニティの生態系リサーチセンターと農業大学では、作物の混植やコンポストを実践するなど、パーマカルチャーのデザインを取り入れた栽培を進められているため、農薬や肥料を購入する必要はありません。またエネルギー面での自立を目指し、バイオガスやソーラーパネルなど常に新しい戦略を発展させています。
ラッシュはこれからもPBIと協力し、ヘスス・エミリオとアルレイの経験を共有することで、彼らの有機ある平和のメッセージを広める活動を続けていく。
Further reading →
12:11