Lush Ethics

ハンドメイドでなきゃいけない理由

「ハンドメイド」と検索すると、アクセサリーや雑貨、DIY情報サイトが出てきますが、ラッシュの商品も神奈川県のキッチンで手作りされ、シェフの誇りと温もりとともに皆さんへ届けられています。

「今となっては、風変わりかと言われるかもしれませんが、私たちのビジネスモデルはユニークであるだけでなく、フレキシビリティも持ち合わせています」と話すのは、ラッシュの共同創立者のマーク・コンスタンティン。「もし他のメーカーが製造において、例えばパッケージを削減するなど何か変更をしようとすれば、製造機械を買い替えたりするので、膨大なコストがかかるかもしれませんね」。

ラッシュのように細やかに、そしてスピーディーに調整や変更に対応できる製造メーカーは多くないのではないかとマークは言います。「イギリスでもそうですが、今日世界中の多くの工場はそのようには稼働していません。ハンドメイドだからできる製造体制のフレキシビリティがあるというのは、本当に素晴らしいことです !」

フレッシュにこだわるから、ハンドメイドで少量生産

ラッシュの商品は、製造工場というよりも、大きなキッチンのような空間で作られています。現在、世界6ヶ国に7つあるラッシュの製造拠点「フレッシュキッチン」の一つは日本にあります。神奈川県北部に位置する愛川町にあるキッチンでは約400名の「シェフ」と呼ばれる作り手たちが、10の製造ルームで毎日商品を手作りしています。

「デイリールームというと、よく『毎日』という意味の“daily”と間違えられてしまう」と笑って話すのは、デイリールームのルームマネージャー。水と油を混ぜて作る”乳製品”の意味を持つデイリー(dairy)アイテムを作るこの製造ルームでは、保湿クリームやボディローション、ヘアコンディショナーなど、クリーム系の商品約80種類を作っています。生産計画に基づき、販売動向も見ながら、毎日の製造スケジュールを調整し、フレッシュな商品をお客様に届けるため、製造ルームで働くシェフたちはその日に何を製造するか、スケジュールを調整します。

肌や髪に効果的な高品質でオーガニック、そしてフレッシュな原材料をふんだんに使い、合成保存料の使用を最小限に抑えるラッシュの商品には使用期限があります。フレッシュネスポリシーに基づき、ラッシュでは製造から28日以内にキッチンから商品を出荷をすることから、長期間倉庫で商品を保管しておくことはしないため、大量生産ができません。あるシェフはラッシュの商品はハンドメイドでなければ作れないと断言します。 

「お客様が必要としている商品をタイムリーに届けるために、デイリールームでは最低2キロから商品を作ります。決まった量を製造するオートメーション製造だと、この少量は難しいですよね。僕たちが商品を作る際のフォーミュラ(成分の配合)はとてもシンプル。使用する原材料も高品質で、特にエッセンシャルオイルに関しては自信を持ってそれが言えます。これらが僕たちが今のような製造方法を取り続けている根底にあり、だからこそ少量生産のスタイルをとっています」。

あるシェフはハンドメイドの醍醐味を新しいメンバーに伝える時、ケーキ屋さんにたとえて話をすると言います。「例えば、ショートケーキが大好きなお客様が大切な記念日にいつもの”あの味”を求めて、お店に来てくれます。ある日、いつものようにショートケーキを買いに行ったらいちごがちょっと酸っぱかった。スポンジケーキのしっとりさがいつもと違った。『新鮮なオーガニックないちごを使ったから、今日はちょっと酸っぱくなっちゃった』『産地の違う小麦粉を使ったので少ししっとりしすぎてしまった」とは言いたくないですよね。お客様はいつもの”あの味”を求めてお店に来てくれたんですから」。

「ラッシュの商品に使っているフレッシュな原材料は、時期によって産地が違いますし、一つの野菜や果物でも複数のサプライヤーさんがいます。気温や湿度も日によって変わります。そういった要素が重なって完成する商品だから、同じものは一つとしてないんです。でも、お客様は“いつもの”ラッシュの商品を求めてショップに足を運んでくれます。バターやオイル、果物の果汁など繊細な原材料を乳化させて作る僕のルームの商品は、いつも決まった時間、決まった回数混ぜていては、テクスチャーがベチャついたり、水分が飛びすぎたりしてしまう。だから目で見て、手で触ってお客様が求める”いつもの”商品を作りたい。それはハンドメイドじゃないとできないんですよね」。

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家族をも誇らしげにさせるシェフのフェイスラベル

ラッシュでは、作り手を単なる裏方とは見なしていません。作り手であるシェフはラッシュにとって、フレッシュで素晴らしい商品を手際よく、真心込めて作り上げてくれるスターなのです。

「私たちは、ハッピーな人がハッピーなソープを作ることを信じています。そして、私たちの商品に記された作り手の顔が、お母さんを誇らしい気分にさせると信じています。」

ラッシュの信念にこの文章が加えられた背景には、こんなストーリーがあります。

現在、イギリスで商品開発者として働いているウェズリーが昔、イギリスのキッチンで製造を担当していた頃、彼の地元であるイギリス中部に初めてショップがオープンしました。ウェズリーのお母さんは、息子が作った商品に彼の名前が書かれていることを知っていたので、地元にオープンしたショップを訪れ、息子の名前が入った商品を探したと言います。そして、ウェズリーの名前が入った商品を見つけたお母さんはショップでスタッフに「これ、私の息子なのよ!」と嬉しそうに、誇らしげに話をしたそうです。

その後に名前に加えて似顔絵もラベルに描かれるようになりましたが、ラッシュの商品は工場で顔も名前もわからない”誰か”が作った商品ではなく、顔の見えるシェフが自信を持って届ける商品であり、家族や友人がそれを探しにショップに足を運んでくれ、それはシェフにとっても誇らしく思えるものなのです。こういったパーソナルなストーリーがいくつも創立者たちの元に届いたことから、ラッシュが誕生してしばらく経ってから、創立者たちは信念にこの一文を加えることを決めました。 

ラッシュの商品には、製造日と使用期限に加え、それを作ったシェフの名前と似顔絵が描かれたフェイスラベルが貼られていますが、 実は限られた人のみがお客様に顔と名前を伝えられるシェフ、「コンパウンダー」になります。シェフは、新しいスキルを身につけていくごとに、マスターシェフにステップアップします。ラッシュジャパンでは、9つの部門でトレーニングを受け、承認される必要があり、最長で2年かかることもあります。

キッチンには、商品を作るためにたくさんのスタッフをトレーニングする文化があります。全てのコンパウンダーが、継続的に新たな商品構成や原材料について学び、技術を向上させられるトレーニングプランが常に整っています。また、ハンドメイドという点では混合作業だけでなく作業現場の製造アシスタントにも大きな重点を置いています。なぜなら、プレス作業、成形、包装を素敵な商品に施して、商品を完成させてくれるのは彼らだからです。年々、商品がより複雑で緻密かつ精緻になっているので、製造におけるハンドメイドもさらに技術を要するようになっています。

これからもハンドメイド

ラッシュにとって大切な商品をハンドメイドすることは、近い将来も機械化に取って代わることはないでしょう。ハンドメイドだからこそ、ラッシュはこれからもフレッシュな商品をみなさんにお届けすること、そして当たり前に挑み、常に境界線に挑んでいくことを約束します。一つひとつの商品の見た目や表情が違う商品を見てみてください。そこにはシェフのクリエイティビティ、イノベーション、インベンション、そして作り手としての温もりと誇りが溢れていますから。

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