ショップマネージャー AYAKA 

私がラッシュで働く理由

「良いサービスかどうかは、お客様が決める」

ショップマネージャー  AYAKA

エイジスリサーチ・アンド・コンサルティング株式会社が2014年にスタートした「サービス・オブ・ザ・イヤー」は、⽇本全国の⼩売業と飲⾷業のサービスレベルを調査し、優秀な店舗を表彰するアワードです。ミステリーショッピング(覆⾯調査)を⾏い、調査結果をまとめ、その年の頂点を極める「総合グランプリ」が決定します。2020年8⽉、神奈川県にある「LUSH アトレ川崎店」が⼩売業・物販1265社6367店の頂点を決める「サービス・オブ・ザ・イヤー2020」のフルサービス部⾨でグランプリを獲得しました。「とにかく⼈を喜ばせることが好き」というショップマネージャー、AYAKAさんにラッシュで働く理由を聞いてみました。 

「成⻑」が仕事

このアワードを受賞したLUSH アトレ川崎店のショップマネージャー、AYAKAさんは2009年にラッシュに⼊社してから、ショップの現場⼀筋。サービスや接客に関する質問をたくさん⽤意して話を聞きに⾏ったら、開⼝⼀番「⾃分の仕事は⼈を成⻑させること、そして⼈に成⻑させてもらうこと」と話が始まりました。「え?」と⼾惑う筆者。予定調和では進まないようです。

「昔は、今みたいに感情を表現することができなかった」というAYAKAさん。「⼊社した時からショップマネージャーになりたい気持ちはあったし、当時のショップマネージャーにも伝えていましたが、『やる気はあるのにそれが表に出てこない』と私に対して悩んでいたのを覚えています」。

横浜のショップで働いていたある⽇、⼀緒に働くチームメンバーを⾒て、「ラッシュの理想のショップのリーダーの姿」を肌で感じたと⾔います。

「その⼈を⾒てたら、レジばかりしてる⼈もバックオフィスで業務をしてる⼈も、思わず⾃分もフロアに出たいと思ってしまう。そんなカリスマ性を感じました。⼈を楽しませることが⼤好きで、この⼈と何か⼀緒にやりたいと思わせる、ラッシュのリーダーってそういう⼈なのかなって思いました」。

「⾃分は⾃分でいい、という考えは昔からある」と話すAYAKAさんは、成⻑欲が強い⼈なのかもしれません。その成⻑にはいつも⼀緒に働く仲間からの影響がありました。

「昔から⽣真⾯⽬。だから『できます』と⾔うことより、『できません』と周りに⾔うことが難しかった。でもトレーニーショップマネージャーとして異動した店舗で⼀緒に働いたマネージャーに会って、できないっていうことって⼤事だって思えたことは⼤きかったです。その⼈に質問すると『私、知らない』ってよく⾔うんです。そしたら、『あ、じゃあ私調べます!』ってなりますよね。だから⾃分が成⻑できる。ショップマネージャーしかできないことはとことんやる、他の⼈ができることは託す。戦略的だったと思いますが、こんなマネージャーいるんだって驚きました。リーダーは全部⾃分でやらない。頼ることってめちゃくちゃ⼤事ですよね」。

そして2014年、空きが出たLUSH アトレ川崎店のショップマネージャーのポジションに⼿を挙げました。昇格してショップマネージャーとしてアトレ川崎店に異動してから1年ほどは、結果が出ず本当に⼤変な時期を過ごしたという。そこで、初⼼に⽴ち返り、ラッシュのカスタマーエクスペリエンスのいろはのい、「キャンディショップ」のレポートを読み解きました。

「キャンディショップは、ラッシュのショップにおけるカスタマーエクスペリエンスに関して細かく⾏動が具体化されているレポートで、本当によくできています。その中には、ラッシュが体現したい、楽しさの要素だったり、エシカルであること、そしてコンサルテーションについても項⽬があります。それを⼀つひとつ読み解いて、理解して、⼀つずつ忠実にチームで取り組んでいきました」。

「お客様の話を聞いて、必要なものを提供する、それだけです。そうしたら⾃ずと⾼い評価をもらえるようになりました。⼈に喜んで欲しいという気持ちと意欲があれば、成⻑できるんだって改めて思いました」。

⼈と⾃分は違う、だから評価は相⼿に委ねる

驚くほど、「サービス」や「接客」という⾔葉が出てこないことに途中で気づきながら、それでも今⽇聞きたかった質問を⼀つ投げかけてみました。それは、良いサービスとは何なのかということ。「事前にこの質問されるなと思って考えたんですけど、めちゃくちゃ難しい。それって、いつ、誰にとって、どこでの話?って思っちゃいます」。そう⾔った後、少し考えたAYAKAさん。「サービスされた相⼿が良いサービスだと思うサービス。私が⾃分では決められない」。

評価はお客様に委ねる。「サービス・オブ・ザ・イヤー」受賞について感想を聞くと、「もちろん嬉しいけど、正直驚かなかった」と⾔います。それは誰が来ても、満⾜していただる⾃信があるから。

「受賞のお話を聞いた時、むしろ⼩刻な点数が気になって、どのような評価の点だったのか、点数の内容を聞いてしまいました(笑)」。

「向上⼼ありますね」と⾔うと「私、負けず嫌いなんです」と答えが返ってきました。

「誰に負けたくないかって?⼈との⽐較じゃないんです。だって⼈を喜ばせることにランキングはないから。それに、そのやり⽅は⾊々あります。数字だけでは測れません。でも私、何でもできるわけじゃなくて、できないことをネガティブに思っていないだけなんです!」

「良い」の定義は⾃分が決めない。評価は相⼿に委ねる。そこに良いサービスの本質がある気がしました。

真ん中にいる主役は、いつも”⼈”

 ダイバーシティ&インクルージョンは⼀⽣考えていくこと

2020年の夏アメリカで起こったBlack Lives Matterを受けて、ラッシュではダイバーシティ&インクルージョンを⼀つのフォーカスとして、⼀緒に働く仲間やお客様、取引先やビジネスパートナーなど、全ての⼈に対して無意識的な偏⾒を持った⾔動がないか、社内の様々なことを⾒直しています。そして、トレーニングやディスカッションを通して、各々が⾃分でできることを探し、アクションを起こし始めました。 

「ラッシュは⼈として成⻑するための気づきや題材をたくさん投げかけてくれる」と話すAYAKAさんも、⾃分の過去の⾔動を振り返って、ずっと忘れない出来事があると話します。

「随分前のことですが、⽿が聞こえないお客様がお買い物に来てくれて、私が接客をしました。帰り際、私が『このショップには⼿話ができるスタッフがいるので、今度来ていただいた時はそのスタッフが対応させていただきますね』と伝えると『あなたに接客してもらえれば、私はお買い物できますよ』と⾔われたことを思い出しました。あれは私の思い込みだったんだなって」。

細かい⾔葉選びにも改善点があったと⾔います。

「美⽩についてもチームで話をしたばかり。お客様に肌が⽩くて綺麗だって、よく⾔ってました。私は⽇焼けした健康的な肌も好きなのに、⽩いことが褒め⾔葉のような暗黙の了解になっていました。同性カップルのお客様が来店した時に、お相⼿の⽅をパートナーですってご紹介いただくこともありますし、彼⼥、彼⽒、かわいい、かっこいい、なんてよく使うような⾔葉 にも配慮が必要。これって、期間を決めたキャンペーンではなくて、⾃分の⽇々のコミュニケーションや⽣活の中で⽴ち返ることが⼤事。⼈として⼀⽣考えていく必要があることだから」。

「相⼿を喜ばせたい」という気持ちが強いチームでは、お互いに働きやすい環境を作るために、それぞれの個性を尊重しよう、という話をしたそうです。

「ずっと発⾔をしなかったメンバーに『どお?』って最後に聞いてみたら、こんなことを話してくれました。『⾃分は性格が良くないのかもしれないけど、これは仕事だから、それぞれの個性を尊重しよう、で⽚付けてしまっていいとは思えない』と。チームの中で、ショップマネージャーである⾃分の声はどうしても⼤きくなりがちで、⾃分の意⾒が強くなる。だけどそれでチームメイトの意⾒を潰してしまえば、⾃分とは違う意⾒が聞けなくなる」。

「⼈とコミュニケーションをとれば、そこから学ぶことってあるじゃないですか。相⼿も⼈間だから悲しんだり、怒ったりします。チームには⾊んなメンバーがいる、それがいい」。

これから変わること、これからも変わらないこと

サービス・オブ・ザ・イヤーの調査が⾏われたのは、2020年4⽉に発令された緊急事態宣⾔の前。緊急事態宣⾔発令期間中はこのショップも臨時休業しました。異例の事態を経験した⼩売業も「ニューノーマル」が謳われ、変わらざるを得ないことが多い中、これから必要とされる良い店とは何だと思うかと聞くと、「うーん」と考えるAYAKAさん。

「それも難しい質問です。だって、それがどういうお店で、いつ⾏くお店なのか。それによって良い店って変わりません?」

⼩売業におけるデジタルシフトは緊急事態宣⾔前からホットトピックでしたが、コロナ禍でその動きは⼀気に加速しました。「そこにニーズがあるお客様なら、オンラインでの接客でも満⾜していただけると思いますよ。でも、LUSH アトレ川崎店に来たいお客様をLINEでおもてなしすることは難しいと思う」とAYAKAさんは⾔い切ります。

「デジタルシフトについては、コロナ禍でもっと変わると思って、接客やサービスのデジタル化に⼒を⼊れて臨みました。SNSやお電話でのコンサルテーションを宣伝してみたり、直接会えないお客様のニーズ汲んで、ご提案をしてみたり。店頭で商品を実際に試していただくデモンストレーションも、これまでのように直接お客様の⼿や腕に触れられなくなってしまったので、Lush Labs アプリでバスボムが溶ける様⼦をお⾒せしたり、商品の使い⽅を動画で⾒ていただいたりしました。やってみて分かったことは、意外と違ったかも、ということ。こういったデジタルでのエクスペリエンスにマッチするお客様はもちろんいらっしゃいます。でも、必ずしもそれが⼤多数ではないのかもしれない」。

「お店に⾜を運んでくれるお客様はやっぱり商品に触れたいんですよね。まだ答えは分からないけれど、デジタルはサービスを提供する⼀つのツールなので、デジタルが主役にはならないと思います。何が主役になる?モノじゃない。⼈じゃないかな。でも、それも⼈によっても違うかもしれませんね」。

新しい⽣活様式の中でデジタルシフトが進んだ2020年。⼀⽅でそのシフトが⼀気に進み、振り切り過ぎた反動なのか、改めてオフラインの価値が⾒直されている、という話を聞くことも増えました。これからの⼩売業はどうなっていくか尋ねてみようと思いましたが、「それはお客様しか分からない」と切り返される気がして、この質問は胸に秘めておきましたが、最後にこんなことを話してくれました。

「緊急事態宣⾔後、感染症対策を⾏ってるラッシュの店内でのカスタマーエクスペリエンス、接客のスタイルも変わりました。実は最近、お客様から届くお声の中でクレームが増えました。何なんだ、と思ってレポートを⾒てみると、接客に関するお声が多い。今⽇ちょうど、最新のレポートを読んでいたら、対応が冷たい、接客されなかった、というお声がやっぱり多い。お客様は何か温かみを求めてるんだな、と思いました」。

「わざわざ店に⾜を運んでくださるお客様のニーズがそこにあるなら、デジタルデモでは満⾜されない。だからデジタル⼀辺倒と無理しないで、ツールとして上⼿に使えばいい。五感に働きかける体験を提供するラッシュだからこそ、これから⾯⽩くなっていくでしょうね。お客様が選べる。選択肢が多いことはこれから重要かもしれないですね」。

今を楽しまないないんて、もったいない

まだまだ聞きたいことはありましたが、⻑⾕川さんがフロアに戻る時間になり、部屋を出ようとしたその時、「分かった!」と頭の上に電球が光ったような顔をしました。

「ラッシュ⼊社前にホテルで働いている時、⾊んな⼤⼈と働いて、たくさん指導してもらいましたが、仕事へのモチベーションがそれぞれ違ったんですよね。⼀⽣懸命で楽しそうな⼈もいる。⼀⽣懸命働いているのに⾟そうな⼈もいる。本当に、⼈それぞれでした。その時、若造の私は、⼤⼈が『仕事を嫌だ』って姿を若者に⾒せちゃいかん!仕事って良いよ!ということを体現したいと思ったんです。同時に、意志や意⾒を持って働いている⼤⼈もちゃんといました」。

「⽣きてる中で多くの時間を過ごす仕事において、絶対楽しい⽅がいいじゃないですか。お客様のために、チームのために、もっと何かできるかなって考えることが好きなんです。周りに仕事が⾯⽩くなさそうな⼈がいたら、私に何かできないかなぁって思っちゃう。私がそうだったように、⼈はやっぱり、⼈に影響されるから」。

編集後記 

⻑⾕川さんに問いを投げかけると、「それってどういうことですか?」と真意を探るような切り返しをされます。それは、相⼿のニーズを探っているのか、理解にズレがないように確認する思いやりなのか、はたまた期待にきちんと応えたいという⽣真⾯⽬さなのか。インタビュー中に「それは違う」「分からない」と⾔ってくれる⻑⾕川さんは、決して迎合しない。質問に対して質問で返されたり、期待していた答えが全然返ってこない楽しい時間はあっという間に過ぎました。「成⻑し続けてますね」と伝えると「え?どういうこと?」と聞き返される。成⻑したいというのに、⾃分の成⻑に対しては驚くほど謙虚。「私がどう思ったかはどうでもいい」と何度か⾔った⻑⾕川さん、もしかしたら⾃分の成⻑の判断基準さえも⾃分ではなく、ともに成⻑する相⼿に委ねるのかもしれません。

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