GRASSROOTS STORY

認定NPO法人アニマルライツセンター、NPO法人 動物実験の廃止を求める会、PEACE 命の搾取ではなく尊厳を

公正な動物愛護法改正を求める3団体

動物愛護法の問題点と守られない動物たちの存在、そして私たちにできること

認定NPO法人アニマルライツセンター、NPO法人動物実験の廃止を求める会、PEACE命の搾取ではなく尊厳を の3団体。日頃は、各団体ごとに動物の権利を守る活動を行っていますが、動物愛護法改正については、2012年の前々回の改正から、連携して取り組んでいます。 特に強く求めているのが、畜産動物、実験動物、輸送される動物、売買される野生種の動物、殺される動物に関する改正です。

今の動物愛護法は、本当に動物を守れるのでしょうか?

畜産動物たち、実験動物たち、輸送される動物たち、売買される野生種の動物たち、殺される動物たち……今の動物愛護法では、最も苦しむ動物たちを守ることができないと私たちは日々感じています。

犬と猫の保護にのみ偏った現在の動物愛護法を正し、国際水準に追いつく、公正な改正をしなくては、動物たちを守ることになりません。

動物愛護法で無視されてしまっている実験動物たち、畜産動物たちのおかれた問題とその解決策を紹介します。

実験動物たちがどこにいるのか誰も知らない

日本では、動物実験施設をどの行政機関も把握できていないということをご存知でしょうか。動物実験では、その動物たちがどこにいるのか、どのくらいの数の動物が使われているのかいるのか、どの動物種が使われているのか、誰も把握できていないのです。

もちろん動物実験施設では、実験動物にウイルスや菌を感染させていることもありますし、たくさんの死体も出ます。そのような施設が、皆さんの家の近くにあるかもしれないのです。さらに、環境省が作成した実験動物の取扱いに関する基準や解説書を配布したり、守るよう指導したりすることすら、今はできません。

例えばEUや米国、韓国には施設の登録または認可制度があり、動物数も把握されています(*)。これらの情報は、動物実験を減らしていくための検討・議論をする上で欠かせない基本的な情報です。

日本政府は実験動物福祉に関する政策を放棄している状態なので、まず動物実験施設や実験動物の生産販売業者を動物取扱業の対象にし、施設の場所や、動物種、動物の頭数を把握できるようにすることを私たちは求めています。

*米国ではげっ歯類など把握されていない動物種がある

動物実験の3Rが義務化されてない

動物実験の3R(代替、数の削減、苦痛の軽減)は、国際的な原則であり、動物実験を行う上で必須の考え方です。なかでも特に”代替”は、まず最初に考え実施するべき重要な項目です。3R については愛護法第四十一条にありますが、現在は”苦痛の軽減”のみが義務規定であり、”代替”と”数の削減”は「配慮するものとする」と書かれていて、配慮事項でしかありません。まさに絵に描いた餅状態です。

世界中が動物実験で犠牲になる動物の数を減らそうと努力する中、日本はその倫理的な努力を怠っています。代替法があるのに動物実験を行うことは、 不必要な苦痛を与えることであり、つまり動物虐待であるとも言えます。

次の改正では、必ず、3R全てを義務化しなくてはなりません。

そして代替法の利用の促進と、その開発と普及を国に責務として義務付ける必要があります。これは、実験動物たちの犠牲を減らすだけでなく、代替法となるヒトベースの最先端研究で世界と競い合うためにも、必要なことです。

産業動物の条項がない

毎年国内だけで10億頭の畜産動物が殺されるにも関わらず、動物愛護法には産業動物の規定がありません。だからこそ、産業動物の保護に関し、日本は世界で最低ランクに格付けされています。

そんな日本にも、変化が訪れています。

この3年ほどの間に、国内大手食品企業はアニマルウェルフェアの5つの自由を推進する立場だという方針を打ち出すようになりました。取り組まなければ投融資を失う可能性があり、実際に養鶏場が外資系企業から契約を切られた事例もでてきているからです。また、薬剤耐性菌のような病気の発生と深く関わる産業動物の福祉の規制に着手しなければ、人と社会の持続可能性はのぞめません。

岸田総理はESG投資の観点から産業動物のアニマルウェルフェアが重要だと参議院本会議で述べています。

しかし、法律は取り残されたままです。

次の改正で、一気に加速させなくてはなりません。専用の条項を新たにつくり、農水省も推進しはじめた国際基準の規約と同程度の規制に強制力をもたせ、世界中の国が規制する、屠殺時の意識喪失と、適正な飼育密度を義務化し、去勢などの手術時の麻酔を義務化するという最低限やっておかないとまずいという規制を私たちは提案しています。

スタニングなしの気絶

要望の中でも強く求めているのは、屠畜時の事前の意識喪失の義務化と、飼育密度の適正化です。

世界に、屠畜する際に事前の意識喪失をしないままに首を切って意識のある状態で失血死させることを許容する国は、もはやほとんどありません。残念ながら日本の鶏の屠畜場の85%以上が、鴨の場合はほとんどの屠畜場が、この恐ろしい方法で屠畜しています。日本にはタイやブラジル、米国、中国から多くの鶏肉が輸入されますが、それらはほぼ100%意識喪失をしたうえで屠畜されています。

また、飼育密度の高さも、鶏肉で比べると日本はタイやブラジル、EUの1.7倍~1.8倍の高さであり、ギュウギュウ詰めです。高温多湿な日本だからこそ、夏場などはバタバタと熱中症で鶏たちが死んでいっているのです。

最低限の規制を求める

世界は、たとえば鶏をケージで飼育を禁止するなどより厳しい規制を導入する方向に進んでいますが、日本ではまだそのような内容は求めることすらできない段階です。
まずはスタート地点に立たなくてはなりません。
私たちは、これらを実現するために、オンライン署名を開始しました。
https://www.change.org/AnimalLawJp


また、より詳細な解説をするウェブサイトもオープンしています。
https://animallaw.jp/

どうか、みなさまのお力を動物たちに貸してください。

WORDS BY
認定NPO法人アニマルライツセンター 代表理事 岡田千尋(左)
https://arcj.org/

NPO法人 動物実験の廃止を求める会 事務局長 和崎聖子(中央)
https://www.java-animal.org/

PEACE 命の搾取ではなく尊厳を 代表 東さちこ(右)
https://animals-peace.net/


Audio player image

12:11